資本主義の歴史 ②重商主義からの脱却

経済

前回は、『前期的資本による経済と資本主義の違い』というところから資本主義を紐解いていきましたが、今回はヨーロッパで資本主義が生まれる一歩手前の重商主義に焦点を置いて、資本主義の歴史について学んでいきましょうか!

今回も中級者向けのお話になります。

重商主義とはなにか

重商主義はWikipediaには、「貿易などを通じて貴金属や貨幣を蓄積することにより、国富を増すことを目指す経済思想や経済政策の総称」と書かれています。

参考:重商主義(Wikipedia)

うんうん、なーんとなくわかるようなわからないような感じですね。

簡単に言うと、金銀などの貴金属のような価値があるものを貯めこむことで、国が豊かになっていくんだよっていうことです。

 歴史的背景を見ていきましょう。

大航海時代の植民地支配と絶対王政

15世紀の半ばから、ヨーロッパ人(主にポルトガルやスペイン)が大規模な航海によって世界に進出した時代のことを、大航海時代と言います。航海を経て交易で富を築き上げた時代というイメージがあるかと思いますが、実際は未開の地での略奪や植民地支配によるところが大きかったんですね。

もともとは地中海貿易が盛んになって開発された比較的大きくて頑丈な船と羅針盤の発明によって、ヨーロッパの中でも地中海貿易の恩恵を受けにくかった国が、外洋へ航海することで新たな富を得ようとした結果、莫大な利益をあげたことから、一発当てるなら航海に出ろ!みたいな雰囲気になったんでしょう。

そしてそんな航海者のパトロン(援助者)となったのが、当時のヨーロッパで主流だった絶対王政下で権力を持つ君主(王)たちだったんです。航海に長けた人を援助する代わりに、貴金属や香辛料など稀少商品を得たり、侵略によって得た植民地を支配することでめちゃくちゃ儲かったわけですね。

そうすると、先に新天地にたどり着いて侵略したもん勝ちになり、ほかの絶対王政の国との競争になります。

貯めこむ重金主義と高く売って安く買う貿易格差主義

ヨーロッパ各地の君主たちは、航海によって得た利益をどんどん貯めこみます。その頃に主流となっていた考え方が重商主義であり、「国力とは富を貯めこむこと」ということだったわけです。つまり、輸出は善、輸入は悪だったのです。

初期の重金主義では、航海による略奪や植民地支配で得た貴金属などの富を、君主たちは「国力を強くする」ために貯めこんでいました。それが後期になると、競争相手からはなるべく安く買い、反対に相手には高く売りつける「貿易格差主義」に発展していったんですね。まあ、当然ですよね?

そしてその中で保護貿易という考え方も生まれました。つまり外からくるものには高い関税をかけたり、関税以外の障壁(国内有利な規制など)を作ることで、自国に有利なように貿易格差を作ろうとしたんですね。トランプ政権のアメリカみたい。

そんな感じだった重商主義も、ついに終わりを迎えます。

アダム・スミスによる重商主義への批判

時代背景としても、繊維・製鉄業の発達と蒸気機関の発明による産業革命や、絶対王政を敷いていた専制君主への反発による名誉革命やフランス革命などの市民革命により、新たな思想が必要な時代でした。

その中で重商主義を痛烈に批判したのが、経済学の祖ともいえるアダム・スミスだったのです。そのアダム・スミスの著作である『国富論』の主張のひとつが、「重商主義なんかで国が豊かになるわけねーじゃん!」って事だったんです。富はそれ自体に価値があるというよりも、欲しいものと交換できるという性質に価値があるわけで、貯めこんでて何にも使わないなら国が豊かになるわけないだろ、ということです。

まあちょっと考えてみたら当たり前のことかもしれません。ひたすらケチって資産1兆円持ったまま死んでいったじいさんより、資産はほとんど残らなかったけど生涯で1兆円を使いまくってあらゆる贅沢をして死んだじいさんのほうがきっと幸せですよね?

例えが適切かどうかは知りませんが、アダム・スミスの主張はそういうニュアンスのことじゃないかなと思います。

今の時代でもそうですが、単純に貿易赤字は悪で、貿易黒字が善かといえばそうじゃないんだよってことです。

重商主義的な考えは今でも残る

重商主義自体は絶対王政下での思想なので、今の世の中とはまた違うんですが、重商主義の中にある保護貿易のような考え方は、未だに根強く残っていたりします。

重商主義は「価値のストック」で国力が上がるという考え方で、資本主義は「価値のフロー」が国の経済を活性化させるという考え方だと認識しています。

 結局は資本主義の世の中といっても、今でも依然として「資本主義になりきれていない」ところもあるんじゃないかと思うわけです。

きっとそれは、資本主義の次の経済思想が主流になってきても、資本主義は残るし、重商主義の考え方も残るんじゃないですかね?人間みんな考え方が一律で進化しているわけじゃないですからね!

ということで、『重商主義からの脱却』をテーマに書いたわけなんですけど、結論としては脱却しきれていない国や人もいっぱいいるんですよねー。チンパンって呼んじゃってもいいんでしょうか。

今回はここまで!うめ吉でした!

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