MMT(現代金融理論)は実際どうなのか

ニュース

今回は一時話題となった、Modern Monetary Theory、いわゆるMMT(現代金融理論)というものが一体どういうものなのか、実際支持するに値するものなのか、支持できない内容のものなのかという所を考えていきたいと思います。

ちょっと調べたところによると識者には「ばかげている」と言われているものの、大衆の支持が熱くなっているようです。

はじめにMMTの説明をしますが、後ほど関係の深い「財政ファイナンス」についても触れていきたいと思います。

自国通貨でいくらでも借金してもいいよ理論

まずMMTって何なの?ってところなんですが、ざっくり言うと、自国の法定通貨で政府が国債などを発行して財政支出にする場合、もっとどんどん財政支出を増やしていいよ、という理論です。大げさな言い方をすれば、国家がある程度の信用を得ている国ならば、税金に頼らなくても借金して使ったらいいじゃん、ということです。

そもそもMMTによると、自国通貨建ての債務で財政赤字を補う国はいくら債務が拡大しても大丈夫ということらしいですが、多くの識者が「そんなことはあるはずがない」と言っています。

なぜなら政府の債務はあくまで借金であり、債券を買ってもらうことで資金調達をしているので、流動性を犠牲にするための対価を支払うことで成り立っているものだからです。通常であれば国債による資金調達は市場に流通するマネーを固定化させることになります。

そしてMMTを成立させるためには、市場に流通するマネーを縛り付けずに国債発行を継続していかなければならないため、必然的に中央銀行(日本でいう日銀)が国債を引き受ける形になります。これは「財政ファイナンス」と呼ばれます。

「財政ファイナンス」、あまりいいイメージの人はいないでしょう。特に大学などでマクロ経済を習った人なんかは特に。

財政ファイナンスが「禁じ手」と言われている理由

財政ファイナンスは悪い資金調達手段、「禁じ手」と言われているそうです。

それは何故かというと、中央銀行は多くの国債を買い、中央銀行がお札を印刷して財政赤字を埋めるというのが続くと、国債が暴落して金利が上がるので、それをまかなうために更に発行した国債を中央銀行に買ってもらい…という無限の通貨供給増によってハイパーインフレを引き起こすから、という通説があったからです。

しかし2019年4月現在、日本で国債暴落による金利の上昇は起こっていません。理由として考えられるのは、日銀は表向き金融政策と言うことで一旦市場で買われた国債を日銀が買いオペで引き受ける形をとっているので、市場も「何かあったら日銀が買ってくれるだろう」という安心感につながっているからだろうと思います。

2019年3月29日に日銀が公表した4月の国債買い入れオペ(公開市場操作)の計画では、世界的な金利の低下(債券価格の上昇)にも関わらず、日銀は買いオペの減額をせずに据え置いたのもそのせいでしょう。

日銀が買ってくれるから安心、というのは一見非常に強いように見えます。そのお陰で金利上昇が抑えられるので、国債発行もまだまだ安心できるだろう市場が判断するのではないかという思惑が働いているのではないでしょうか。

世の中のお金が増えてもインフレにならない

うめ吉おじさんが大学で学んだ経済学では、「貨幣の供給量が増えるとインフレになる」と教えられました。お金をたくさん発行するとその分1単位あたりのお金の価値が薄まるのというイメージで覚えましたし、実際にそうなのでしょう。但し、発行された貨幣が流通して循環すれば、です。

実際いまは日銀の買いオペによって世の中に出回るお金の量はどんどん増えていますが、日本はデフレか、物価は上がりも下がりもしないトントンぐらいだったりします。

それがなぜかは簡単です。お金が使われないからです。

経済学的な話では、デフレ下ではお金を使わない方が得をするというインセンティブが働くことや、金利が下がりすぎていることで「流動性のわな」の状態になり買いオペによる金融緩和を行っても投資や消費が増えないとかナントカって話だし、政治的な話でいえば個人は政府が行う公的年金などの社会保障制度が不安視されていることで将来不安からお金を使わないとか、企業も景気の先行きを不安視しているために設備投資よりも現金や金融資産のほうを重視するようになるとか、そういった話になる。

まああれこれ分析した理屈はあるだろうけど、結果でいえば世の中のお金が増えても、使われないからインフレにもならない。「絶対に誰も開けられない金庫」の中に入っているお金は、果たしてお金と言えるのか、みたいな話で、長く使われないお金はその期間あってないようなもの、ということになる。

 どんだけお札を刷って世の中にばらまいてもインフレにならなければ、もちろんその先のハイパーインフレにもならない。でもそれって”お金を持ってる安心感”のためにお金の機能を犠牲にしているんですよね。

つまり消費をなるべくしない。設備投資を控える。賃金を抑える。

要は景気が良くならなければインフレにもならないので、退蔵されているマネーが表に出ることもないから、その状態(不景気)を維持できれば国もなんぼでも債務を増やせるわけです。

MMTは、インフレが行き過ぎれば論理的に破綻

ちょっとのインフレは経済のスパイスのようなもので、景気が明るくなっている印でもあれば、お金を退蔵させるメリットを減らすわけです。

もちろん、例えば個人が消費を控えて資産を増やすことにしたとしても、インフレだとただ持ってるだけでは価値が目減りするので、減らさないようにするためには何かしらの「運用」をしないといけなくなります。

積極的に運用しなくても銀行の金利がインフレ率より高ければ、差額は収入になりますし、収入が増えれば消費しようという気も以前よりは起きるようになってきますよね。しかも、それが継続して入る収入ならなおさらです。

 でも、その状態で政府が債務をどんどん増やして支出(強制的な投資)をして、もし賃金が上がるとするならば個人消費は増えます。消費が増えれば生産のために労働力が必要になるので、人手不足になれば賃金を増やす、もしくは違法なブラック労働をさせるしかありませんが、景気がいいのにわざわざ悪い労働環境にいる人はあまりいないのではないでしょうか。

そして例えば不動産に投資する人が増えると価値がどんどん上がっていくでしょうから「不動産を買わないと損」みたいになりますし、不動産以外のいろんなものに波及していく可能性も高いです。世の中的に広くお金を使う人が増えれば、消費を抑えて閉ざしていた「開かずの金庫」からもお金が出てきますね。

行きつく先はハイパーインフレかバブルでしょう。とはいえ最近のベネズエラで起こったような深刻な供給不足になるわけではないので、何万倍のインフレとかにはならないでしょうけど、物価は不安定になって業種ごとの賃金格差が今より断然大きくなることは十分に起こりえます。

その時にMMTによって債務をじゃんじゃん増やした揺り戻しが来ることになるので、無限に借金できる理論は破綻するわけです。

MMTは中央銀行の独立性が失われる

政府と中央銀行とはいわゆる親会社と子会社みたいな関係にあるのですが、「中央銀行の独立性」という言葉もよく使われます。中央銀行は必ずしも政府の意に沿って動くわけではないことが重要と言われているのですが、MMTに関して言えば「中央銀行は政府の意のままに動く」ことが求められるわけです。

ではなぜ「中央銀行の独立性」が必要かというと、中央銀行は長期的視点に立った経済の安定、特に物価を安定的に保つという目的があり、専門性が高いため選挙による民意が求められると困る場合が出てくるからです。一般的に民意は短期的な利益を求めがちなので。

しかし、協調が悪いわけではありません。長期的な利益と短期的な利益が合致した時は、同じ方向を向くことができます。そこは中央銀行が独自に判断できれば良いのです。

ただし、MMTに関しては基本が政府と中央銀行を完全にひとつにまとめた「統合政府」として動くのが条件になってくるので、中央銀行の独立性は必ず犠牲になります。

「財政ファイナンス」においても、国の経済を上向かせるために時限的に行うのであれば、決して「禁じ手」だとは思いません。でも少なくとも2~3年で結果が出ないのであれば、何か根本的な間違いがあるということに気付き、軌道修正をしなければ政府の債務がどんどん膨らんでその分リスクは増すのです。

なので財政ファイナンスを行うまでは慎重に(それ以外に方法がないか考えながら)、いざ行なう時になればズルズルならず確実に効果を出せるように、財政政策と金融政策を大胆に行う必要があります。(かなり切羽詰まっている状況でしかできないことです)

一定の条件が揃わない限りは安易に行うことはできない、経済的には有事の政策だと考えるべきですね。

うめ吉おじさんの見解・まとめ

MMT自体は正しい理論とは言えず、都合よく一部を切り取って政府債務を正当化しているだけだと思います。

日本の金融政策も「財政ファイナンス的だ」と批判されることが多いのですが、短期で目的が達成されるのであれば悪いとは言えません。ただし、長期にわたって「異次元緩和」が続いている以上は、なぜ結果が出ていないのかを迅速に判断する必要がありました。

個人的な見解としては、景気を上向かせるための財政出動と減税を金融緩和とセットにしなかったことが失敗の原因だと考えています。もちろん「異次元緩和」に「異次元の財政出動」をぶつければ混乱は起きますが、混乱から抜けたあとは消費や投資を喚起させて、賃金上昇を伴う本物の景気回復ができると予測しています。

かなりの間デフレと停滞が続いたため、瞬間的な衝撃はかなり大きいでしょうし、短期的には悪い影響も出るでしょうけど、先延ばしにすればしただけダメージは大きくなるので、覚悟は必要でしょうね…!

というわけで今回はMMT(と財政ファイナンス)について思うことを書いてみました!

うめ吉でした!

コメント